高齢者は、運動機能の低下などから転倒しやすく、椎体(ついたい/背骨)に加え大腿骨近位部(だいたいこつきんいぶ/脚の付け根)の骨を骨折しやすくなります。特に、脚の付け根の骨折は歩くことができなくなるため、そのまま寝たきりになることもあります。
また、背骨を骨折すると、骨折していない人に比べ相対死亡リスクが8倍以上になることが報告されています(Cauley JA, et.al.:Osteoporos Int.11(7):556-661,2000)。
背骨の圧迫骨折により背中が曲がると、胸やお腹の臓器が圧迫されて消化不良や便秘、胸やけなどの消化器症状が起こったり、肺が圧迫されることによる息苦しさを感じたり、悪化すると心臓に負担がかかることがあります。
また、高齢者では、骨折で入院→手術→安静という経過をたどり、次第に自分らしい生活が送れなくなり、トイレや入浴、食事、着替えなどといった日常生活に必要な最低限の動作さえも困難となってしまいます。
転倒による骨折を経験した高齢者は、また転ぶのではないかという不安から転倒する前よりも歩かなくなったり、曲がった背中が人目に触れることを気にして外出の機会が減ったりします。そのため、筋力の低下がますます進み、さらに転倒しやすくなるという悪循環に陥る傾向にあります。